税理士である知人はきっぱり断言した
「国税庁のホームページで作成し、『印刷して提出』するのが一番楽である」
「でもパソコンで作成するにはICカードリーダライタの購入や電子証明書の取得が必要なんでしょ」
「確かに『e-Tax』はそうかもしれないが、国税庁のホームページの中で申告書を作成し『印刷して提出』する方法があり、それが一番楽である」
紙による申告書の作成に悪戦苦闘していた小生は、だまされたと思って知人の税理士が言った方法を試みた。
使い始めてすぐに実感した。
「これはいい。」
紙で意味が分からずもがいていたのがウソの様である。
結論としては、確定申告に不慣れな人ほど、国税庁のホームページ(パソコン上)で作成し『印刷して提出』することをオススメする。これこそ確定申告と縁がなかった退職後サラリーマンに一番の方法である。
小生もその一人であったが、なかなかこの方法に辿り着けない理由は、パソコンで処理する= 『e-Tax』 と勘違いしている人が多いからと推測する。確定申告に不慣れな人にとって、国税庁のCMの仕方がわかりにくいのが一つの要因と考える。
補足①『e-Tax』とは異なり、ICカードリーダライタの購入や電子証明書の取得の手続き不要。申告書を作成支援するソフトが無料で使用できる、イメージ。
補足②国税庁のホームページで申告書作成に取り掛かる前に、「自分に関わる項目」をあらかじめ押さえ、それぞれに「必要となる書類等」は準備しておく必要あり(毎年発行される確定申告に関する雑誌等を参考に)。

但し、国税庁のホームページで申告書作成は途中で中断(途中までの入力内容をデータとして保存)できる機能があるので、少し手間が掛かるが申告書を作成しながら、随時必要なものを準備しながら進めることも可能。
リンク:「国税庁ホームページ 確定申告書等作成コーナー」
退職したサラリーマンは確定申告が必要?
会社を退職しサラリーマンを辞めたあと、その年の内に再就職していなければ、翌年の初め(通常は2月16日~3月15日)確定申告が必要である。年間の所得をはっきりさせ、税金が計算される。
退職したサラリーマンの場合、税金がとられるというより、源泉徴収により多く収めていた分を還付金として取り戻せる可能性が高いため、しっかり規定通りに実施するのがよい。
また、『住民税』や『社会保険料』の金額は前年度の所得に依存する。翌年以降にその年の年収の減額による税金に関わる優遇処置を得るためにも、絶対に前年の所得を確定しておいた方がよい。
25年間サラリーマンで確定申告には、出産時や住宅ローンをした時以外にはほとんど縁がなく、不慣れであったが、「何か学ぶことがある」との思いもあり、サラリーマンを退職した翌年、真面目に確定申告に取り組むことにした。
まず「全体像」を把握するために、一冊雑誌を購入。
「すぐ書ける確定申告令和3年一番得する申告書の書き方(成美堂出版)」
この本を一通りみて「自分が関わりそうな項目」をピックアップしてみると、結構見つかった
- 年の途中で会社を辞め、再就職していない⇒会社に勤めていた期間の収入と源泉徴収状況を申告
- 会社を辞めて退職金をもらった⇒退職金に関しては、勤続年数に応じた退職所得控除額があり。「自己都合の退職(6掛け)」であったため、退職所得控除額よりもはるかに少ない額であり課税対象なしも申告
- 生命保険の満期保険金を受け取った⇒満期になったわけではなく、解約により一時金あり申告
- ローンを組んでマイホームを買った⇒住宅ローン控除が残り1年分あり申告
- 所得控除もろもろ⇒基礎控除、社会保険料控除、生命保険料控除、配偶者控除、扶養控除等
上記項目に対して事前に準備すべきものは、
- 家族含めた『マイナンバーカード(or マイナンバーがわかるもの)』
- 退職した会社からの『給与所得の源泉徴収票』
- 退職金がある場合『退職所得の源泉徴収票・特別徴収票』
- 住宅取得賃金に係る借入金の年末残高等証明書
- 住宅に関わる『登記識別情報通知』等
- 一年間に収めた保険料がわかる『生命保険料控除証明書』等
- 保険解約の支払い明細書
次に、役所から紙の申告書等の資料を一式入手した。この時点では、紙による申告しかないと考えていた。
不慣れな人にとっての確定申告のハードル
「所定の書類から数値を書き写す、計算も足し算、引き算、係数を掛ける簡単な掛け算であり、丁寧にやっていけば難しくはない」という人がいるが、それは慣れている人(全体像や過去の経緯が分かっている人)が言っているセリフである。
人は忘れる生き物、年に一度でも覚束ないのに、小生の場合、過去に2回、1回は医療費控除だけの目的、もう1回は住宅ローン控除だけの目的、といった単体の目的で実施しただけ者にとって、確定申告は大変である。
「全体像がわからない」ことが本質的な問題である。
先に説明した通り、今回は目的が異なるとともに、複数の項目に該当している。
「すぐ書ける確定申告令和3年一番トクする申告書の書き方 (成美堂出版) 」
を読み一通り頭に入れ、紙による申請書作成を試みたが、すぐにわからないことが出てきて手が止まる。申請書に書かれている言葉の定義にもつまずく。AとB様式、Bであれば全てに通用するといいながら、微妙にA様式に記載されている言葉が違ったりする。
全体が分かっていて、言葉の意味もわかっている人と違い、不慣れな人にとっては、つまづいたことをいちいち調べながら、申告書の作成を進めていくのはかなり厄介な作業である。
記入スペースも、紙の申告書フォーム内の全体のバランスの関係で、記入する内容に対して、異様にスペースが狭い箇所もあり、老眼では記入自体も困難である。
仮に、毎年申告書を作成することになれば、自分で手順書を作るのもいいが「仕組みやルールがしょっちゅう変わる」と、その内容を確認していくだけで大変である、やってられない。
そのための税理士が必要なのかもしれないが、とにかく慣れていない人にとっては、複雑でややこしい。
今回、「もう限界」であると感じていたところ、たまたま税理士である知人と話をしている中で「解決への道」が見出された。冒頭の話である。
国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」へのアプローチ
何はともあれ、入り口に辿り着かなければ、始まらない。入口までの簡単なアプローチの仕方を図にまとめてみた。

「国税庁」と入力し、Google検索してから『印刷して提出』の入口に辿り着くまで、5回クリック(ポチっと)が必要。
ここまで来ると、パソコンで作成する手段において「3つの選択肢」を準備してくれているのがよくわかる。
- 『e-Taxで提出(マイナンバーカード方式)』
- 『e-Taxで提出(ID・パスワード方式)』
- 『印刷して提出』
税務署なのか国税庁なのか?アピールが下手であると思う。確定申告に関して、CMやいろいろな広告を目にしたが、「紙」か「e-Tax」の2択しかない様に聞こえる。
「スマホでできる」はここでいう選択肢でもないが、そもそも年配者には響かない。画面が小さくて不便である(効率が悪い)。
聞こえのよい『e-Tax』をアピールする前に、
- 国税庁のホームページで、パソコンで作成できること
- 『印刷し提出』する迄の一連の進め方がわかりやすくフォローされていること
をまずきっちりアピールした方がよい。自分がそうであった様に「パソコンで作成」=「e-Tax」で、それには手続きやICリーダーが必要だから、すぐにできない、今回は「紙にしよう」と思った人は多いのではないか。
「手書きによる面倒くさい」を解消する国税庁のホームページ
紙による手書きのめんどくささはざっくり下図である。

国税庁のホームページの「確定申告書等作成コーナー」では、あっさり解決してくれる。
「確定申告書等作成コーナー」申告書を作成するメリットは、
- 計算する必要がない⇒源泉徴収票等からの数値をインプットするだけで税金に関わる計算は自動でしてくれる。
- 繰り返し書く手間がない⇒名前や住所、各種金額を何度も基本一度インプットすればよい
- 素人が戸惑いそうな箇所には、説明のリンクがある
- 作成開始から、印刷、送付(チェックリストもあり)まで一連の流れがフォローされておりわかりやすい
- 途中で作業をやめても、データを保存でき続きから再開できる⇒ネットワーク環境がよくない場合にも一時保存をこまめに実施することをオススメする
役所(税務署)でピックアップした資料も意外と役立つ
現状「確定申告書等作成コーナー」のアプリケーションソフトはまだまだ改善余地があり。
それを補完するべく、役所(税務署)等で入手できる紙の資料も役に立つ。

- 所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き⇒全体像を把握したり、確定申告特有の言葉の意味を理解するのに役に立つ
- 所得税及び復興特別所得税の確定申告書添付書類台紙⇒サイズがまちまちである添付書類の貼り方イメージがわかりやすい。「印刷して提出」で作成した後、印刷する時に添付書類台紙も印刷されるが、貼り方のイメージ説明等がない
- 郵送時用の手作り封筒⇒手作りの手間はあるが、専用の封筒であり、封筒のサイズを考え準備する手間が不要
まとめ(確定申告書作成から提出までのポイントおさらい)

- 事前準備として確定申告の全体像を把握⇒自分に該当する項目及び必要書類を認識。【参考】確定申告の雑誌や税務署の手引き
- できれば、役所(税務署)から紙の資料も入手
- 確定申告書は国税庁のホームページで作成。【手段】『印刷して提出』※途中で入力データの保存も可能
- 郵送で所轄の税務署に送付
以上
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